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笠井 信輔

フリーアナウンサー

わたしのお母さん

こんなにも自分の母親のことを想う作品は『我が母の記』以来だ。 突然、母(石田えり)と同居することになった長女(井上真央)。母との再会の瞬間からその眼差しで2人の間には何かあると思わせる微妙な芝居。杉田監督は物語を紡ぎながら、静かに口数の少ない娘にカメラを向け続ける。見ている私たちはどんどん引き込まれていく。それは物語を追う作業ではなく観客が自分自身の母子関係を見つめ直す時間。原田美枝子『愛を乞う人』、長澤まさみ『マザー』、井上自身が演じた『八日目の蝉』など、激烈な母娘ものとは対極にある作品なのだ。 行間の豊かな作品とはこういうこと。井上真央の佇まいが味わい深く良い。真っ暗な劇場でじっくり味わいたい。

22/10/2(日)

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