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内外問わず話題作・娯楽作を本音で紹介
笠井 信輔
フリーアナウンサー
あちらにいる鬼
22/11/11(金)
新宿ピカデリー
出家前の若かりし頃の瀬戸内寂聴(寺島しのぶ)をモデルに、作家・井上光晴(豊川悦司)との長年にわたる不倫生活を描いた作品。この原作を書いたのが、井上氏の娘さんだというから驚く。さらに生前、寂聴さんはこの映画の完成を楽しみにしていたのだとか。 作品を観て納得。不倫物語と言うのは愛人と本妻とが憎しみ合うのが通常。だが堂々と不倫を続ける中で、寂聴(寺島)と本妻(広末涼子)が、お互いに共感していき、不思議な絆で結ばれていくのだ。日本人の道徳観が瓦解しそうな展開となる。とにかく、寂聴役の寺島がさすがの芝居を見せる。一方、本妻の広末は新境地。こちらも、これまでなかったキャラクターを演じた。この二人の生き方ともに、賛否渦巻くだろう。
22/10/4(火)