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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介
堀 晃和
ライター(元産経新聞)、編集者
いつか、いつも‥‥‥いつまでも。
22/10/14(金)
新宿ピカデリー
観なければならない。そんな強い衝動にかられる作品がある。『いつか、いつも‥‥‥いつまでも。』に長崎俊一の4文字を見つけた時がまさにそうだった。 1982年の劇場デビュー作『九月の冗談クラブバンド』、88年の『ロックよ、静かに流れよ』など80年代から今も話題作を撮り続けていることに嬉しくなる。原作の映画化が目につく中で、オリジナルストーリーという点にも惹かれた。脚本の矢沢由美は本作に出演した女優の水島かおりのこと。長崎監督の妻で、夫の作品をいくつも担当してきた。10年前、スケッチブックに本作の題名と同じ文言を書いた時に物語は始まったのだという。 舞台は海辺の小さな町。若い医師の俊英(高杉真宙)は、祖父の“じいさん”(石橋蓮司)が院長の診療所で診察にあたっている。診療所には祖父宅が併設され、俊英も暮らしていた。ある日、憧れていた女性にそっくりな亜子(関水渚)が現れ、同居することに……。 物語の核となるのは家族の絆。家政婦のきよ(芹川藍)が料理を並べた食卓を、俊英、亜子、じいさん、きよが囲む光景が印象的だ。視線、仕草、口調から4人の同じ願いが伝わってくる。頭に文字が浮かんだ。「いつか、いつも‥‥‥いつまでも。」と。
22/10/11(火)