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日本で上映されるアジア映画はおまかせ

紀平 重成

コラムニスト(元毎日新聞記者)

アフター・ヤン

前作の『コロンバス』では人が静謐な建物と対話しているかのように意表をつく映像が話題を集めたコゴナダ監督。待ち望んでいた本作は近未来を舞台にミステリアスなタッチのヒューマンドラマとあって、見逃せない一作となりました。テーマは「ロボットは感情を持つことができるのか、恋愛も可能か」といきなり直球です。この重要で必然の問いに真正面から答えようとしています。 A I(人型)ロボットが普通の家庭にも普及した近未来。商売熱心とは言えない茶葉の販売店主ジェイクと妻カイラ、幼い幼女のミカの3人は慎ましく幸せな日々を送っていました。ある日ロボットのヤンが故障で動かなくなります。父親のジェイクはふさぎ込むミカのために修理の方法を模索しますが、その中でヤンの体内に彼が撮り溜めた断片的記録映像を発見します。そこには家族に向けられたヤンの温かいまなざしと、彼が巡り合った謎の若い女性の姿が残されていたのです。 ヤン役に抜擢された韓国系アメリカ人2世のジャスティン・H・ミンが「アジア系アメリカ人として、僕がいつも考えていること」と作品のテーマについて語っています。アジア人を特定するのは言葉か、外見か、それとも歴史の知識か。「アジア系のロボットというアイデアを使って、そうしたことをより深く掘り下げている」と解説してくれます。 監督のうまさは視覚効果やスペクタクルなどに頼らずに「ここは未来」と信じ込ませる映像を作り上げたこと。もちろん彼を信じて坂本龍一やAska Matsumiya、Mitski ら音楽界の才能が結集したことも力となりました。また導入部分でファミリー・ダンスのコンクールに参加した一家3人とロボットの4人組によるダンスシーンを一目見るだけで、集まった多様性の力と美しさに納得するはずです。

22/10/13(木)

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