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クラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

新国立劇場オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』

「新国立劇場の新制作上演『ボリス・ゴドゥノフ』」 19世紀ロシアの国民楽派の大作曲家ムソルグスキーのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』は、音楽史上屈指の名作だ。1600年前後の動乱時代に実在したロシア皇帝ボリスをモデルとした物語で、彼が先帝の幼弟を暗殺したという噂に付き纏われ、それがもとでトラウマになり、ついに自滅して行くまでが、素朴ながら暗い音楽で描かれる。 今回はムソルグスキーの短い初版(1869年)を基本とし、それに追補改訂版(1872年)から一部を採り組み合わせた「折衷版」で上演される。演出が映画・演劇監督として有名なマウリシュ・トレリンスキであるのも注目の的で、原典では皇帝ボリスのひ弱な息子であるフョードルに重要な性格を与えたり、各登場人物に新しい独自の解釈を加えたりする。これまで日本で上演された『ボリス・ゴドゥノフ』にはなかったような、新鮮なステージが期待できるだろう。 ボリスを歌うのはギド・イェンティンス、陰謀家シュイスキー(のちに皇帝になる)をアーノルド・ベズイエン、修道僧ピーメン(今回の演出では陰謀の黒幕)をゴテルジ・ジャネリーゼといった錚々たる主役陣に、日本勢が脇役を固める。彼らと東京都交響楽団を指揮するのは、新国立劇場芸術監督の大野和士。劇場開場25周年記念の力作だ。

22/11/7(月)

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