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水先案内人のおすすめ

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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ

子どものころは猫も犬も飼っていた。本作で、19世紀末頃までの英国では猫の人気はそれほどでもなかったと知った。猫の写真で盛り上がる現代の日本人からすれば、カルチャーギャップを感じずにはいられない。英国での猫のイメージアップに貢献したのが、イラストレーターのルイス・ウェイン(1860~1939年)。その生涯を描いたのが本作だ。 ロンドン生まれのウェイン(ベネディクト・カンバーバッチ)は上流階級の出身だが、妹5人と母の暮らしを支えなければならず、生活は楽ではない。そんな中、妹たちの家庭教師として住み込みで雇われたエミリー(クレア・フォイ)と恋仲に。年上で地位も異なるエミリーとの交際は周囲の大反対にあうが、2人は結婚。しかし、間もなく乳がんと分かり、ウェインは妻を慰めるために、自宅に迷い込んだ子猫のスケッチを始めて…。 3年後に亡くなった妻との日々が、英国特有のウェットで落ち着いた光のもとで繊細に描かれる。穏やかな色調からウェインの深い悲しみがじわり伝わってくる。 ウェインが絵について「教えるべきルールはひとつだけだ」と説く場面が印象に残った。「それは見ることだ」。ウェインのセリフに重なるエミリーの横顔が美しい。

22/11/25(金)

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