そばかす

ドラマ『恋せぬふたり』が話題を呼んだとはいえ、他者に恋愛感情を持たないアロマンティック、性的に惹かれないアセクシャルを描く映画が公開されるのは画期的なこと。母には無理やりお見合いをさせられ、周囲からは恋人について聞かれ……。とかく恋愛至上主義の世の中が主人公の佳純の日常のなかで描かれていきます。 『his』のアサダアツシによる脚本はシリアスになりすぎず、ユーモアのバランスが絶妙。食べるシーンで生命力を感じさせ、さりげない表情のひとつひとつで心の動きを伝える三浦透子から、目が離せなくなります。佳純の毎日に風穴を開ける友人役を演じた前田敦子が『シンデレラ』のストーリーにキレる、胸のすくような場面も。生きづらさを感じている人が、私だけじゃないんだと駆け出した瞬間に流れるのは三浦透子が歌う主題歌『風になれ』。映画の余韻とともに、ヘビロテ中です。