ウェールズに住むジャンは、変化の無い日常に辟易としていた。ある日、競走馬を育てる事を思いつき、村人を巻き込んで夢に向って突っ走る。登場人物のキャラクターが本作の魅力である。トニ・コレット扮するジャンは猪突猛進型の夢追い人、夫のブライアンはグータラだが動物とは心が通じ合える、ハワードは過去に競走馬で失敗、飲んだくれのカービーやヒトクセある村人達の夢を馬に託するのが微笑ましい。車のヘッドライトがことあるごとに外れたり、ちょっとした小ボケが効いてイギリスの牧歌的な風景とともにとぼけたユーモアを醸し出す。物語は定石的な展開だが、素直な演出に心が和む。まるで山田洋次監督の人情劇を思わせる。しかも実話なのにびっくり！また、英国のカントリーファッションが楽しめる。調教師フィリップはバブアー社のワックスドコートを着てたり、村人達のアーガイル柄のセーターやハンチグ帽などオシャレ度も高く品格を感じる。

22/12/13(火)