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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

カンフースタントマン 龍虎武師

『燃えよドラゴン』以降、数えきれないほどのカンフー映画に親しみ、アクション・シーンの素晴らしさに魅せられてきた者にとって、香港アクション映画のスタントマン(武師)たちの激闘の歴史に迫った『カンフースタントマン 龍虎武師』は感涙のドキュメンタリー作品だった。 登場する顔ぶれが凄い。サモ・ハン、ドニー・イェン、ブルース・リャンといった人気スター、ユエン・ウーピン、スタンリー・トン、チン・シウトン、チン・カーロッらアクション演出家・映画監督、ツイ・ハーク、アンドリュー・ラウ、エリック・ツァンといった大物映画人たち。彼らが語る撮影秘話と創意工夫の数々は苦難と叡智に満ちていて、何冊もの映画本が作れるほど面白く興味深い。メイキングなどのアーカイブ映像も潤沢で、『大福星』『ファースト・ミッション』『プロジェクトA』など香港アクション映画史に残る名シーンがどのように撮影されたかが証言と映像で甦る。 ドニー・イェンは言う。「彼らスタントマンはカンフーの世界で一番だと証明するためにバカをやるのです。そのためにはとてつもなく危険な仕事でも命を懸けるのです」。CGもワイワー技術もなかった時代、ビルの七階からチン・カーロッらが飛び降りる『ファースト・ミッション』、ジャッキー・チェンが高層ビルの大時計から落下する名シーンなどのメイキング映像は、何回見ても手に汗握る素晴らしさだ。 香港アクション映画界、今は隆盛とはいえないがスタントマンたちが立ち上げた「香港スタントマン協会」の指導の下、若い世代が日々アクションの訓練に励んでいる姿は頼もしい。再び、香港アクション映画に栄光あれと思わずにはいられないウェイ・ジュンツー監督作品だ。字幕監修は監督・アクション監督の谷垣健治氏が担当している。

22/12/14(水)

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