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水先案内人のおすすめ

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歌舞伎、文楽…伝統芸能はカッコいい!

五十川 晶子

フリー編集者、ライター

新春浅草歌舞伎

第一回の1980年以来、毎年東京浅草では歌舞伎の初春公演が行われてきた。歌舞伎座より敷居を低く、歌舞伎座とはまた一味違う顔ぶれで、初めて歌舞伎を観る人にも気軽に楽しんでもらえる興行が打たれてきた。 尾上菊五郎や片岡孝夫(片岡仁左衛門)、二世中村吉右衛門、十世市川海老蔵(十二世市川團十郎)や坂東玉三郎など、いまや大立者となっている役者たちも花形時代にここ浅草でしのぎを削っていた。 その後、尾上松緑、市川團十郎、尾上菊之助の「平成の三之助」や、市川猿之助、中村獅童、片岡愛之助といった役者たちが古典の大役に挑戦する場として人気は定着し、さらに昨今では尾上松也を中心とする若手花形たちによる座組がスタート。 ところがコロナ禍で2021,22年と続けて中止となり、この浅草歌舞伎の顔ぶれで歌舞伎座の本公演の中に一幕を設けるというイレギュラーな形の上演がなされた。 そして2023年、新春浅草歌舞伎が3年ぶりに戻ってきた。第一部と第二部で出演者を総入れ替えし、いずれも義太夫狂言一本と所作事一本という狂言建てだ。 第一部の一幕目は『双蝶々曲輪日記』の「引窓」。主筋への義理で人を殺めた角力とりの濡髪長五郎が、義理の兄である南与兵衛と女房お早、母のお幸が住む八幡の里の家へと逃げてくる。実は産みの母であるお幸に一目会おうとやってきたのだった。郷代官への出世が決まった与兵衛の初仕事は、なんと義弟の長五郎を捕縛することだった……。明かりとりのために天井に設けられた引窓が物語の鍵となっていく。もう一幕は安珍清姫の伝説を題材とした道成寺ものの『男女道成寺』。白拍子と狂言師、男女の踊り比べをたっぷりと。 第二部の一幕目は『傾城反魂香』。山科の里で絵筆一本で見事虎退治をなしとげた弟子の修理之助に、土佐将監光信は土佐の名字を与える。そこへやってきたのが同じく弟子の浮世又平と女房のおとく。土佐の名字を賜りたいと願い出る。生来言葉の不自由な又平に代わりおとくが訴えるが、願いは聞き届けられない。また将監の息女の救出を自分が、と願い出るが、これもかなわない。将監は又平に絵の道で功績を挙げるよう諫める。悲嘆にくれる又平夫婦は自害を決意する。名残に手水鉢を石塔に見立て、魂込めて自画像を描くと、そこに奇跡が起こり……。もう一幕は長唄舞踊『連獅子』。獅子の親子の間に流れる厳しくも温かい情愛を見せる前半、そして宗派の異なる二人が言い争うユーモラスな間狂言を挟み、再び親子の獅子による豪快な舞踊が見どころだ。 出演は 尾上松也 中村歌昇 坂東巳之助 坂東新悟 中村種之助 中村隼人 中村橋之助 中村莟玉 ほか

22/12/25(日)

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