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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け

セクハラをしているハリウッドの大物プロデューサーの実名が出てくる。電話での声も聞こえる。遠景での後ろ姿も映る。しかし、当人をはっきりとは映さない。これは別に「大物への配慮」でも「忖度」でもない。それらしい俳優に演じさせるよりも、あえて「見せない」ことで、その大物感が浮き出るという映画テクニックのひとつ。 これひとつでわかるように、あらゆる娯楽映画の技法と文法を使って、大きな、そして深刻で、いまも続いている社会問題を描くというハリウッドの伝統が、ここにある。 これこそ、日本映画に欠けているもの。 女性たちがセクハラ被害を語るシーンでも、「語り」だけで、その現場の回想シーンを映すことはしない。 あくまで「証言」として映す。 このように、抑制がきいており、センセーショナルな話題に真摯に描いている。だからリアリティが増す。 多分、「働く女性たちの共感を得る」というような批評が多いと思う。そうなると、男性は敬遠しがちだが、『大統領の陰謀』『ペンタゴン・ペーパーズ』の系譜の映画として、敬遠せずに見てほしい。

23/1/7(土)

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