60代で奇跡のブレイクを果たしたフジコ・ヘミングは、“魂のピアニスト”と呼ばれている。それは彼女がエモーションを最優先してピアノを弾くからだ。クラシックというハードルを外して、オーディエンスに直接アプローチする。オーディエンスはフジコのピアノの魅力的な音色に自分の想いを重ねて、自由に浸ることができる。それゆえフジコのファン層は非常に幅広い。それでもまだ彼女の音楽に触れたことのない人は多いだろう。今回のコンサートはそうした音楽ファンにおすすめしたい。 フジコは幼い頃、生地ベルリンから日本に渡航。ヨコハマ大桟橋に降り立った。その後、戦争などのために、彼女は貧困におちいり、さらには難聴と闘った末、ついに世に見出されたのだった。今回、その思い出の地でのコンサートには特別な演出が用意されている。フジコの手元を大きなビジョンで映し出し、照明にも工夫がこらされるという。そのため、どの席からも彼女の音色の秘密の一端に触れることができる。セットリストは最新ベストアルバム『COLORS』から「ラ・カンパネラ」や「月の光」などの人気曲で構成される予定だ。 初めて見る人も、久々に触れる人も、ずっと聴き続けている人も、この機会にフジコのドラマティックでロマンティックなピアノに癒やされてみてはどうだろうか。

23/1/9(月)