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高松 啓二

イラストレーター

バビロン

ハリウッド サイレント映画時代の栄枯盛衰を当時のゴシップをモデルにして描く。狂乱のパーティで巨漢コメディアンの女優殺人もみ消し工作から始まる。便利屋のメキシコ人マニー、野心満々の女優ネリー、大スターのジャック・コンラッドを通して物語は進行する。中でも圧巻なのは、ネリー役のマーゴット・ロビーのハッチャケぶりである。魑魅魍魎のパーティでもひと際目立ち、目を奪われる。逆にコンラッド役のブラッド・ピットは黄昏感漂い枯れた魅力がある。また、この頃の映画撮影風景は、荒野に複数の野外ステージを作り、それぞれ撮影してたりする。ただし、懐古的雰囲気はなく、ダンスやヘアスタイルは今風ですらある。風俗より幻影の世界を描いたデイミアン・チャゼル監督のこだわりか。ちなみに劇中、トーキー映画幕開けとなる『ジャズ・シンガー』での名セリフが「お楽しみはこれからだ」。サイレント映画の衰退の始まりでもある。

23/2/3(金)

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