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鋭い視点でアートの見方を指南

村田 真

美術ジャーナリスト

諏訪敦 眼窩裏の火事

絵を描く動機のひとつは真似をすることだと思う。人はなぜか物真似をしたり見たりするのが好きだが、それを平面に定着させようとしたのが絵だ。 でも相手は動物にしろ人間にしろ草花にしろ立体だし、動いたり朽ちたりもするので、平面に固定するにはさまざまな工夫を凝らさなければならない。そこに絵画の可能性と限界があり、またそこに絵を描く楽しみも見る喜びもあるだろう。 諏訪敦の作品はそんな絵画の限界と可能性を突き詰めることで、見る者の視覚体験を押し広げてくれる。 3代にわたる舞踏家の動きを1枚の絵に重ねる。現代のガラス器とクラシックなガラス器を描き分ける。祖母をキャンバス上に蘇らせ、死に至らしめる。ついには諏訪の眼窩裏にしか生じない現象まで描き切ろうとする。もはや写実絵画を超えてしまっている。

23/2/4(土)

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