逆転のトライアングル
Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion
スウェーデン出身のリューベン・オストルンド監督の新作。カンヌの常連で、本作は『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(17)に続き、コンペ部門でパルムドールを受賞した。
売れっ子モデルのヤヤと、同じくモデルだが懐は寂しいカールは喧嘩しながらも美男美女のカップルである。2人は豪華客船での旅に出るが、なんと船が難破し、他の乗組員や乗客数人と無人島に流れ着く。食料も尽き極限状態に置かれた時、ヒエラルキーの頂点に立ったのは、トイレ清掃員だったアビゲイルだった…。
現代風刺の効いた逆転劇なのだが、何よりも各々のキャラクターが脇役に至るまで生き生きとしていて、話に動かされている感がないのが見事。豪華客船に乗っている時からみなの行動は抱腹絶倒であり、ヒエラルキーが逆転した後も、各々の食欲・性欲といった人間の本能がどう話を転がしていくのか、目が離せない。
イケイケのインフルエンサーを演じたヤヤ役のチャールビ・ディーンがサイコーなのだが、なんと彼女は昨年急死してしまったという。彼女の天真爛漫な美しさを惜しみながら観たい。