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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

スクロール

パワハラの苦しみをSNSに吐き出すことで何とか生きている“僕”(北村匠海)と、毎日をただやり過ごしているユウスケ(中川大志)。旧友の死で再会したふたりを中心に、生き辛い現代を生きる4人の若い男女の姿を描き出す本作は、厳しい現実を次々にぶつけてくるから観ているのが辛い瞬間があるかもしれない。 けれど、『CUBE 一度入ったら、最後』(21)の清水康彦監督による、4人の生々しい日常を交錯させながら進む構成が鮮烈で、約13分にもおよぶ長回しの1カットの冒頭のシーンからぐいぐい引き込まれる。 “僕”とユウスケ、“僕”のSNSの書き込みに共鳴する“私”(古川琴音)、ユウスケとの結婚が自分の幸せと考える菜穂(松岡茉優)の抱える閉塞感や苦しみも現実の社会に即したものだから、4人の誰かに自分を重ねたりもするだろう。 そんな4人を見つめる本作が何よりも素晴らしいのは、“今は何もかも忘れてしまおう”と言って現実から逃げることを肯定するところだ。“その日が来たら、向き合えばいいのたがら”。そのひと言で、心がスッと楽になるかもしれない。“僕”が浮かべるラストのほのかな笑みが、あなたにも勇気をくれるに違いない。

23/2/6(月)

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