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お気に入り映画をイラストで紹介

高松 啓二

イラストレーター

フェイブルマンズ

手塚治虫は生前スピルバーグをエッセイに取り上げ、シンパシーを感じていたようだ。漫画『紙の砦』は、事実と創作がおりまざった自伝的作品。本作は、そのスピルバーグ版と言える。1952年サミー・フェイブルマン少年は『地上最大のショウ』を観て映画の虜になり、母からプレゼントされた8ミリで作り手になる。古き良きアメリカンノスタルジー画面が、ノーマン・ロックウエルの絵画(スピルバーグはロックウェルのファン)のようでユーモア溢れる生活感が染み渡る。サミーはイジメにも遭うが、得意の映画術で乗り切る。ただし、物語は両親の夫婦関係が軸となっている。母ミッツィは明るい性格だが、夢を諦めた後悔を引きずっている。それでも息子の夢を応援する姿はディズニーの『ピノキオ』におけるブルーフェアリーのようだ(彼女は青い服を着ている)。特に踊りのシーンは妖精そのもの。好きな事を生業とする決意の瞬間とディズニーの影響力が、手塚治虫と重なる。ちなみに劇中のTVコメディ『ホーガンズ・ヒーローズ』は、日本放映時の『OK捕虜収容所』である。

23/2/21(火)

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