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名画座女子の極私的旧作邦画セレクト

のむみち

名画座かんぺ発行人

映画監督川島雄三 才気煥発の極み

『とんかつ大将』(2/26〜3/4) ラピュタ阿佐ヶ谷「映画監督川島雄三 才気煥発の極み」(2/26〜4/22)で上映 本コーナーにて、以前『花籠の歌』を紹介した際、それを旧作邦画における「三大とんかつ映画」のひとつ、としましたが、その内のもうひとつが本作。 佐野周二扮する貧乏長屋に住む医者(とんかつ好きでついたあだ名が「とんかつ大将」)と津島恵子扮する長屋隣の病院の女院長、彼と彼を取り巻く長屋の住人やとんかつ飲み屋の女主人との交流を描いた人情下町物語。とんかつ大将を慕って同じ長屋で暮らすバイオリン艶歌師・吟月を演じる三井弘次が絶品です。飲み屋の女将を、当時24歳かそこらの角梨枝子が演じていますが、ま〜ぁ、色っぽいこと! 三井→角→佐野、の恋情の一方通行が切ない……。当時の浅草の風景がいろいろと見られるのもワクワクします。 蛇足ですが、先日『映画、幸福への招待』(晶文社)が発売となった、本コーナーでもお馴染み太田和彦さんはその昔小説を書いておられますが(『居酒屋吟月の物語』)、タイトルの「吟月」はまさにこの三井弘次の役にちなんで、とのこと。というエピソードも出てくる座談会(太田和彦×高崎俊夫×のむみち)が前掲書に収録されています!←宣伝 さてこの「三大とんかつ映画」、最後の1作『喜劇とんかつ一代』もこの川島雄三特集の後半でかかりますヨ。 あと、本特集は、チラシがとんでもなくカッコイイので、是非手に取ってみてください!

23/2/22(水)

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