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劇団四季と宝塚と歌舞伎をこよなく愛する

原田 順子

演劇ライター

新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX

3月4日、IHIステージアラウンド東京で開幕した新作歌舞伎『ファイナルファンタジーⅩ』。昼夜通しで観ると、昼の12時から夜9時近くまで、途中20分から25分の休憩が計3回、昼の部と夜の部の間には約2時間の休憩もありますが、かなりの長丁場です。ゲームをやらない私としては、大まかなあらすじは頭に入れて行ったものの、最初から置いていかれたら、この長時間どうしようと正直心配だったのですが、360度回転する客席と、大きなスクリーンや照明を駆使しながら展開する壮大な物語に、まったく飽きることはなく、堪能することができました。 客席には、歌舞伎を初めて観るというゲームファンも相当いたのですが、最後までとても楽しんでいましたし、衣裳や鬘、化粧なども、歌舞伎の要素を加えながらも原作のイメージは損なわず、再現度も高かったように思います。100年後まで残る古典となり得る新作歌舞伎をつくりたいと言っていた、企画・演出・主演の尾上菊之助も、大きな手応えを感じたのではないでしょうか。 主人公のティーダを演じる菊之助、伝説の剣士アーロン役の中村獅童、グアド族の指導者シーモアの尾上松也ら、役者たちはみんな熱演で、どの役も印象深いのですが、特に中村米吉の召喚士ユウナが、死者の魂を鎮めるためにおこなう幻想的な“異界送り”の場面が美しく、アルベド族の長シド役の中村歌六が、きっちり歌舞伎として演じていたのが場を締めていたと思います。中村梅枝のルールーが抱えるモーグリのぬいぐるみがグッズとして売られていて、買っている人をたくさん見かけました。

23/3/10(金)

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