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水先案内人のおすすめ

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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

死体の人

奥野瑛太という俳優が面白くて仕方がない。画面に姿を現した瞬間、何かしてくれるんじゃないかと勝手に期待し、その通り忘れられない人間として物語に色を足す。しかも今作は、本人なのではと妄想してしまう“役者バカ”な主人公であり、しかも“死体役”ばかりやる俳優という設定なのも面白い。 本人によると草苅勲監督が「吉田広志(主人公)そのもの」だそうだが、草苅監督のセンスも面白く、ファーストカットに「そう来たか!」とほくそ笑んでしまった。「〇〇バカ」とはこんな人のことを言う、を理解し尽くしたエピソードや行動がてんこ盛りで、それだけで存分にストーリーを楽しめるのは、“一生懸命な人間は魅力的”なことを映画で体現していたからだ。 しかも唐田えりかはつくづくフォトジェニックだ。登場した瞬間、目が離せなくなり、彼女が演じる女性の内面を探りたくなる独特な存在感を放っている。ニタニタしながらホロリとするなんて最高の映画じゃないか。カメラアングルもさりげなくて上手い。こんなに愛おしい登場人物が揃っただけで映画って面白くなるのだ。

23/3/12(日)

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