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水先案内人のおすすめ

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ユニークな選択眼!

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ガール・ピクチャー

フィンランド発、とても美しい青春映画だった。 悩み、苛立ち、怒り。あがき苦しみながら必死に前に進もうとする、不器用で真っ直ぐな10代の少女たちの群像が爽やかに描かれている。 物語の中心になるのは、学校に馴染めず、いつもふたりでいるミンミとロンコ、フィギュアスケーターとして壁にぶつかっているエマという3人の少女。個々の表情を丁寧に追いながら、心情を繊細に掘り下げていく。 特に、ミンミとエマの描写が秀逸だ。ミンミはエマに恋していているのだが、ミンミの視点から映し出されるエマの美しさ、エマを見つめるミンミの眼差し、いずれもときめきに満ちていて、思わずキュンとしてしまった。 ふたりが恋仲になるにつれ、さらにキュン度は増す。硬かったエマの表情、尖った陰のあったミンミの表情、それぞれが明るく生き生きとしてくる様には、尊さすら感じられる。 性描写はそれなりに生々しかったりもするのだが、それが“当然の営み”として日常の中でナチュラルに描かれているのも好感が持てた。 しかも、ただの甘いラブストーリーでは終わらない。少女たちはその若さのために素直になれず、苦しみ、傷ついていく。 何か真新しい切り口や刺激のある作品ではない。ただ、だからこそ、少女たちの苦悩に向き合う作り手たちの真摯な姿勢が色濃く伝わることになった。

23/4/9(日)

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