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映画のうんちく、バックボーンにも着目
植草 信和
フリー編集者(元キネマ旬報編集長)
不思議の国の数学者
23/4/28(金)
シネマート新宿
『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』『ビューティフル・マインド』『奇蹟がくれた数式』『π パイ』『博士が愛した数式』などなど、数学者を主人公にした映画にはなぜか忘れ難い作品が多い。自身とは無縁の能力を持つ者に対する畏敬と羨望、からだろうか。 韓国を代表する名優チェ・ミンシクは3年ぶりの本作で、脱北した北朝鮮の天才数学者に扮している。代表作『酔画仙』『オールド・ボーイ』のように異形のアウトロー役のイメージが強い彼が、難解な数式を解く“知的な”天才数学者役をどう演じたのか……。「北朝鮮の方言まで完璧に使いこなしている」と韓国メディアが称賛したとおり、数学と政治の狭間で苦悩する天才数学者を見事に体現、改めてミンシクの憑依演技の凄さを実感させられた。
23/4/22(土)