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映画から自分の心を探る学びを
伊藤 さとり
映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)
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23/4/14(金)
TOHOシネマズ日比谷
パート1である『サーチ』を観た時の衝撃。カメラで俳優を直接映すような演出は無く、私たちがパソコンやスマートフォンを動かしながら物語を体験するという全く新しい感覚に興奮した。それがパート2の制作でどこまで進化するのか? その期待に応えるよう本作の視点はネット世代の娘になり、まさにネットを駆使した捜査と共に母と娘の絶妙な関係を映し出すことで事件の本質に迫る脚本が秀逸だった。過干渉にも思える母親、それに反発する娘のメールでの些細なやりとりも伏線になる。シングルマザーが新たな恋人と旅先で消息を断つことで用いられる日常での役立つネット機能まで活用する捜査。目まぐるしく変わる画面の世界こそがティーンエイジャーの脳内にも思え、ネットサーフィンに身を委ねて必死に自分も理解していこうとスクリーンに釘付けになるのもまた面白く。感心してしまうのは、前作以上にネットからなのに海外旅行をしているような広がりを感じる演出術。これからもシリーズが続いて欲しい。そして前作を観ていなくても存分に楽しめるであろうストーリーというのも親切だ。
23/4/18(火)