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水先案内人のおすすめ

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日本で上映されるアジア映画はおまかせ

紀平 重成

コラムニスト(元毎日新聞記者)

不思議の国の数学者

エリート養成学校の在り方を問う社会派の作品かと思って見ると、脱北した天才数学者の隠遁生活と生徒との交流もサスペンスフルに展開する欲張りな作品です。 『ラブ・レター パイランより』では不誠実なチンピラ男を、また『オールド・ボーイ』では監禁され復習に燃える男を名演し、どちらからと言えばささくれだった神経の持ち主で時には暴力も辞さないという役の多かったチェ・ミンシクが、本作では学問と思想の自由を求めて脱北した天才数学者のハクソンをクールに演じます。 ハクソンは自分の正体を隠したまま、上位1%の英才が集まる名門私立高校の夜間警備員として働いています。素っ気ない応対しかとらないため学生たちから避けられていましたがある日、数学の苦手なジウ(キム・ドンフィ)に「数学を教えてほしい」とせがまれます。「正解」であれば良いとする担任教師にジウは抵抗しますが、学校側から転校を持ち掛けられてしまいます。そんな流れに悩むジウにハクソンは問題を解く「過程」の大切さを教えます。ジウのため良かれと思っての助言でしたが、思わぬ事態が生じます。 「正解を出すより 答えを導く過程が大切──」 パク・ドンフン監督がハクソンに語らせたこのセリフは世界共通の金言だと思います。

23/4/18(火)

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