日本のシティポップのさきがけの一人である杉 真理（すぎ・まさみち）が、名盤『STARGAZER』の発売40周年を記念して全曲再現ライブに挑む。ベテラン音楽ファンにはたまらないライブだ。 杉はJ-POPの創成期の1977年にデビューした。自由でありながらポップスの伝統を踏まえた独特の音楽作りで異彩を放ち、竹内まりやなどに楽曲提供して注目を集めた。1982年、大瀧詠一に指名されて、佐野元春とともに『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』に参加。音楽シーンでのポジションを確立する。 その翌年に発表されたのが『STARGAZER』だ。CMに起用された「バカンスはいつも雨」や「内気なジュリエット」などを収録したこのアルバムは、サウンドのはしばしにビートルズなど洋楽ポップスのエッセンスがちりばめられていて、今も新鮮に響く。 杉は長いキャリアを通じてライブをコンスタントに行ない、またラジオのDJとしてポップスのうんちくを語り、抜群の面白さでリスナーを魅了してきた。今回の再現ライブでも、そのこだわりとユーモアをきっと発揮してくれるだろう。 僕にとって忘れられないのは、初期に観た松任谷由実、須藤 薫とのジョイントコンサート「Wonder Full Moon 行かないで夏休み」だ。お互いにリスペクトするアーティスト同士が、多いに音楽を楽しむ様子は、その後の音楽イベントの良いお手本になった。 今回のバックを務めるのはギターの渡辺 格、橋本 哲、キーボードの小泉信彦など、杉とこだわりを共有するメンバーで、『STARGAZER』に秘められた音楽の謎を解き明かしてくれそうだ。春たけなわの季節にぴったりのライブになるに違いない。

23/4/19(水)