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クラシック公演の魅力をやさしく解説

田中 泰

音楽ジャーナリスト

新国立劇場オペラ『リゴレット』

名作と言われ、クラシック史上に燦然と輝くさまざまなオペラの中で、これほど後味の悪い作品は他にない。 オペラという舞台芸術自体が本来下世話なものであり、「恋と嫉妬に、不倫と裏切りに殺人」という、さながら「火曜サスペンス劇場」のようなストーリーが持ち味であることを考えれば、ヴェルディが題材として選んだことも理解できるのだが、何しろ娘を持つ父親としてはもう、頭をかきむしりたくなるような物語なのだ。 しかし、しかし、この腹立たしいドロドロの物語に添えられた音楽の何と素晴らしいことだろう。主人公リゴレットの敵役であるマントヴァ公爵が「風の中の羽のように…」と高らかに歌う「女心の歌」を思わず口ずさんでしまうのだから始末に悪い。そして今回もその魅力に負けて観ずにいられないのが更に腹立たしい。

23/5/10(水)

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