レコード収集の世界ではジャケットのデザインで選ぶ「ジャケ買い」なる言葉があるが、本作はまさにメインビジュアルに惹かれて観た。赤茶の岩山と青空、そして、白いキャンピングカーに寄りかかり、語らう2人の男。いかにも、とんでもない冒険が始まりそうではないか。 実際、どこの国の映画かも知らなかったが、これが日本映画。しかも、ドキュメンタリーなのだ。視力を失ったクライマー、彼を声でガイドする相棒の物語。目が見えない人がどうやって山登りをするのか。健常者には想像できないが、これがすごい、自らの身体と声だけを頼りに頂点を目指す。 次第に明らかになる２人の人生。そして、世界7大陸の最高峰を制した伝説的全盲クライマーとの出会い。この3人の言葉は人生訓に満ちていて、メモをしたくなるほどだ。目が見えないからこそ、仲間がいる。そして、人生は美しい。知らなかった新しい世界にいざない、とんでもない景色も見せてくれる。元気をもらえる胸アツ映画だ。

23/4/27(木)