ソフト／クワイエット

『ソフト／クワイエット』のポスターは、一度見たら忘れられないインパクトを持つ。そして内容も普通の兼業主婦たちが、「アーリア人団結をめざす娘たち」という、白人至上主義の小さな団体を作る話でショッキングだ。まるで菓子作りのクラスのような感覚で、主婦たちが集まり有色人種にいやな思いをさせられた話を語り合う。しかし出世を先に越されたといった個人レベルの話で、それを人種差別と結びつける危険性を彼女たちはわかっていないように見える。監督、脚本は本作が初長編となるベス・デ・アラウージョ。女性の集まりでちょっとギスギスする辺りの些細な描写は、女性監督ならではの視線だ。そしてテーマ自体が危うさをはらんだものでありながら、さらに本作は全編ワンショット。いくつもの衝撃を持った、まさに今観るべき映画だ。