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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

岸辺露伴 ルーヴルへ行く

「この世で最も黒い絵」をめぐる物語。「黒」は光を吸収する色。黒という色そのものがミステリアスなのだ。それに取り憑かれた人々の物語である。 大長編マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』のスピンオフがシリーズ化されて、NHKがドラマ化した。そのスタッフとキャストによる映画。しかし独立した物語なので、『ジョジョ』やテレビドラマ『岸辺露伴は動かない』を知らない人でも楽しめる。 映画の原作『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』そのものがルーヴル美術館からのオファーで描かれたもので、この映画もルーヴルが協力し、現地でロケされている。 コロナ禍で海外旅行ができなくなった人へのサービスかと思うほど、パリの名所が映る。ルーヴルもピラミッド型の入り口から「モナ・リザ」といった定番コースがしっかり鑑賞できる。さらに、本当にルーヴルにあるのかどうかは分からないが、地下の倉庫が出てきて、そこでの決闘がクライマックス。 娯楽映画だが、芸術に向き合うことでの絶望と、芸術家としていきることの不幸を描き、心地よい疲労感がある。映画全体が暗くならないのは、飯豊まりえの浮遊感ゆえか。

23/5/17(水)

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