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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
光をみつけるヴァイオリニスト 穴澤雄介からのメッセージ
23/5/30(火)
東京都写真美術館ホール
作曲や編曲を手がける視覚障がい者のヴァイオリニスト、穴澤雄介の人生と音楽活動を描いたドキュメンタリーだ。子どもの頃から心臓と眼に障がいがあり、高校時代に完全に失明したが、光を失いながらも音楽の道に進んだという。そんな穴澤へのインタビューを中心に構成されている。中盤にはナレーターを勤める元大相撲力士の舞の海秀平との対話があり、また後半には陶芸家の木曽保人の工房で陶芸に励む穴澤の姿も描かれる。カウボーイハットを被ったウエスタンスタイルの穴澤のキャラクターは魅力的であるが、映画の焦点は彼が語る言葉にある。視覚を失ったことによる研ぎ澄まされた想像力や記憶力が言葉の端々からうかがわれて興味深い。身体障がいとは何かを改めて問いかけられている印象を受ける。
23/5/22(月)