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ジャンル横断、センスのいいセレクト

立川 直樹

プロデューサー、ディレクター

探偵マーロウ

『モナリザ』(1986年)や『クライング・ゲーム』(1992年)といった忘れ難い傑作で映画の悦楽に酔わせてくれたニール・ジョーダンの最新作は『探偵マーロウ』。推理小説家の巨匠レイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵フィリップ・マーロウを、今年で銀幕デビュー45周年、本作が出演100本目になるリーアム・ニーソンが演じるもので、1930年代のロサンゼルスを舞台に最高にスタイリッシュなハードボイルド・ミステリーに仕上がった。マーロウの世界観には欠かせない”ブロンド美女”(演じているのはこれも御贔屓ダイアン・クルーガー)の依頼から始まる物語は映画産業が急成長を遂げるハリウッドの闇に踏み込んでいくが、ブロンド美女クレアの母親であるハリウッドを代表する名女優ドロシーを演じるジェシカ・ラングの風格を漂わせた演技も見ものだし、撮影も音楽も完全にひとつの世界観を作り上げている。

23/6/11(日)

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