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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

さらば、わが愛/覇王別姫 4K

30年ぶりに、『さらば、わが愛/覇王別姫』を4K版で観た。きめ細かい鮮明な色彩で甦った、激動の歴史に翻弄される二人の京劇俳優の愛憎を描いた壮大な叙事詩。演出、撮影、美術、演技どれもが完璧な作品だと再認識する。私事だが、1993年に本作を初めて観て感動のあまり面識がなかったチェン・カイコー監督に脚本の日本語翻訳出版のお願いをした。それが『さらば、わが愛/覇王別姫—中国語・日本語対訳シナリオ集』という本になり、監督に喜んでもらえた、という体験も鑑賞中に甦った。 『さらば、わが愛』がいかに素晴らしい作品かを物語るエピソードとして、第46回カンヌ国際映画祭でのパルム・ドール受賞が挙げられる(『ピアノ・レッスン』とW受賞)。同賞を競った監督たちはケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダース、ホウ・シャオシェンという巨匠たちだから、チェン・カイコー監督の名声をたかめた。 出演たちも凄い。香港の大スターのレスリー・チャン、中国を代表する女優コン・リーと俳優チャン・フォンイー。今年はレスリー・チャン没後20年、さらに本作公開30周年にあたるメモリアル・イヤー。この機会に、伝説の傑作を美しい映像でご覧になることをおススメしたい。

23/6/15(木)

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