Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

演劇鑑賞年300本の目利き

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

NODA・MAP『兎、波を走る』

野田秀樹、67歳。いよいよ“不条理”の迷宮に入り込んだか? で、待ってました! 2年ぶりの書き下ろし新作『兎、波を走る』。ン、ウサギ。何じゃ、それは? プレスリリースによれば、走るように書き始めた新作は「潰れかかった遊園地を舞台に繰り広げられる“劇中劇(ショー)”のようなもの」が物語設定とか。さらになんともいたたまれない不条理を感じ取ってほしい、と切に願っている。ウ~ン、分からない……。 そして、だ。不条理なお話なので、物語は「不思議の国のアリス」で始まるという。なるほど、ルイス・キャロルによる児童小説の世界が劇中劇になるのか。しかも、“世界的な稀代の劇作家”まがいの人物がふたり、絡んでくるらしい、とも。それは誰? シェイクスピア、そして野田秀樹? 「不思議の国のアリス」といえば、幼い少女アリスが人間のコトバを話す白ウサギなどしゃべる動物、動くトランプといった様々なキャラと出会って冒険する話だ。言葉遊びが含まれるから、言葉遊びの天才野田が走るように書き進めたのも分かる気がする。 ウサギは月の例え。調べてみると『兎、波を走る』は月影が水面に映っている様子の意味らしい。恐らく、猛烈なスピード感で舞台は展開するのだろう。 集合した野田チームの面々は高橋一生、松たか子、多部未華子、秋山菜津子、大倉孝二、大鶴佐助、山崎一。作・演出の野田も出る。東京、大阪、博多を回る3カ月の長期公演。俳優は運動量を目一杯に体力勝負。列島を不条理が、ウサギが走る。

23/6/12(月)

アプリで読む