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ジャンル横断、センスのいいセレクト

立川 直樹

プロデューサー、ディレクター

マティス展 Henri Matisse: The Path to Color

マティスの展覧会は日本でもこれまでに何度も開催されている。それだけ人気があるからだろうが、純粋な色彩による絵画様式”フォーヴィスム”を生み出し、モダンアートの誕生に決定的な役割を果たした巨匠の画業の集大成になったといわれる南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂に至るまでの道のりをたっぷりと味わえる今回の大回顧展はかなり内容が充実している。マティスのコレクションに関しては、質・量ともに世界有数として知られているパリのポンピドゥーセンターの全面協力を得て、マティスが最後に残した絵画連作の第1作になる「黄色と青の室内」(1946年)と、締めくくりになった「赤の大きな室内」(1948年)のそろいぶみ。そうした大型作品から、マティスが装丁を手がけた美術文芸誌「ヴェルヴ」などの多彩な仕事も紹介されており、約150点の作品がそのままマティスの絵画空間のように構成されている。

23/6/23(金)

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