フランス政府から返還された「松方コレクション」を基礎に1959年に建築家ル・コルビュジェの設計により上野に開館した国立西洋美術館。2016年に世界文化遺産に登録されたが、ル・コルビュジェの当初の構想に近づけるため2020年10月から改修のため休館した。 その改修の様子を収めながら、絵画の保存や修復、資料収集、展示の飾り付けや貸し出し作品の梱包と輸送など、美術館のさまざまな部門の仕事を、学芸員や職員たちの証言を含めて描き出すが、それはまさに美術館の裏側を紹介することでもある。なかでも予算をめぐる文化行政の問題やマスメディアとの歴史的な関係など興味深い。これまでもわが国の美術館を紹介する文化映画はあったが、美術館の全貌に迫るドキュメンタリーとしては意義深い。

23/7/9(日)