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釣木 文恵
演劇ライター
新国立劇場の演劇『モグラが三千あつまって』
23/7/8(土)~23/7/30(日)
新国立劇場 小劇場
夏は子ども向けの演劇作品が増える。で、これがまたバカにできないどころか、大人にとっても面白く、心に残る作品になることも少なくない。新国立劇場で上演されるのが、まさにその「こどもも大人も楽しめる」シリーズ。長塚圭史演出、近藤良平振付で2012年からスタートしたこの一連の作品も、今回で4作目。音楽は連続テレビ小説『らんまん』でも知られる阿部海太郎が手掛ける音楽劇。原作は、『ひょっこりひょうたん島』の企画・演出で知られる武井博による同名の児童文学。舞台は「ひょうたん島」を思わせる島、なのだが、3つの島それぞれにモグラ族、ネコ族、イヌ族が住んでいて、食糧をめぐって争いが起きる……という物語。1984年出版のものとは信じられないほど、今のご時世にぴったりの作品。子どもも対象にしているだけあってマチネが大半、もちろん託児サービスが利用可能な回もある。目に障がいのある方向け、耳に障がいのある方向けの観劇サポート回も。こうやって少しずつでも、あらゆる世代や状況の人に演劇が開かれていくのはうれしいことだ。
23/7/7(金)