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春日 太一

映画史・時代劇研究家

マッド・ハイジ

ぶっ飛んだ映画だ。『アルプスの少女ハイジ』を現地スイスで実写化した作品なのだが、そのアレンジがかなり狂っている。 大手チーズ会社の社長による軍事独裁政権下のスイス……という舞台設定からもうおかしい。 羊飼いのペーターは、禁制の山羊のチーズを麻薬のように密売をして荒稼ぎ。秘密警察により街中で処刑されてしまう。おじいさんも戦闘で爆死。ハイジはクララと共に連れ去られ、刑務所のような矯正施設で過酷な日々を送ることに。 とにかく、ハイジがカッコいい。愛する者たちを奪った独裁政権への復讐心を旨に、いかなる困難にも不屈の精神で抗い続ける。その孤高の戦士たる様はまるでスタローン。泥まみれ、血まみれになりながらの闘いに引き込まれていった。 脱獄、修行、闘技大会、強敵……。ありったけの娯楽要素を詰め込み、ハイテンションな演出で押しきる。 90分という上映時間も的確で、最後の最後まで盛り上がりっ放しだった。

23/7/16(日)

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