8月の「代官山落語夜咄」は三遊亭兼好が演じる怪談噺。『生きている小平次』は古くからある怪異譚を元に大正期の鈴木泉三郎という戯曲家が歌舞伎の演目としたもので、六世尾上菊五郎らが大正14年に初演。昭和32年と昭和57年には映画にもなっている。落語家では六代目三遊亭圓生と八代目林家正蔵が持ちネタにしていた。兼好の師匠である好楽は正蔵一門から圓生の総領弟子である五代目圓楽の門下に移った噺家で、兼好にとって『生きている小平次』は大いに所縁のある演目だ。普段は明るく楽しい高座で笑わせる兼好が“笑いの無い怪談”をどのように演じるのか。この機会を見逃すのはあまりにも勿体ない!