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映画から自分の心を探る学びを
伊藤 さとり
映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)
僕と幽霊が家族になった件
23/8/4(金)
グランドシネマサンシャイン 池袋
台湾映画『紅い服の少女』シリーズはホラーとしてもミステリーとしても心霊バトルとしてもとても良く出来ていた。そのチェン・ウェイハオ監督がまたもや心霊ものでありつつも、今までと毛色の違うPOPでスリリングな人間と幽霊バディ映画を完成させた。しかも台湾でブームのBLモノかと思いきや、予想を裏切る展開の連打でギミックが楽しいサスペンス映画になっていく構成のうまさ。 それだけでなく主人公演じるグレッグ・ハンと幽霊演じるリン・ボーホンの演技に抑揚があり、掛け合いがとにかく楽しい。そのお陰でストーリーが進むにつれてこのふたりを好きになってしまうマジックまであるのだ。台湾に古くから伝わる儀式「冥婚」により死者と結婚するハメになったゲイ嫌いの体育会系刑事の行く末を描くのは斬新だし、幽霊に協力をしてもらい事件の解明に挑むストーリーなんて、『ゴースト/ニューヨークの幻』にもあったけれどコメディタッチで観るとやたらと幽霊に親近感が湧く。企画力に拍手を送りたくなる痛快作だ。
23/8/3(木)