セルゲイ・ロズニツァ監督によるアーカイブ映像から構成されたドキュメンタリーだ。第2次大戦がそれまでの戦争と大きく異なるのは、空襲あるいは空爆と呼ばれる爆撃機による上空からの攻撃で甚大な被害をもたらしたことだ。冒頭20分ほどはドイツの長閑な農村風景が続くが、夜に花火のようなキラキラした光が見えると爆発音が聞こえ始めて空襲だと知れ、やがてドイツ軍のロンドン空襲や連合軍のハンブルグ空襲など、第2次大戦下の空爆の記録映像が重ねられる。両軍とも当初は軍事施設を狙ったというが、民間への被害は甚大なものであり、今日のロシアによるウクライナへのミサイル攻撃を想起させる。ラストで映し出される瓦礫の山となったベルリンの街の風景はまさに空襲による破壊の象徴である。

23/8/11(金)