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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
23/8/18(金)
新宿バルト9
デヴィッド・クローネンバーグ監督の8年ぶりとなる新作。クローネンバーグとの相性が一番良かった俳優、ヴィゴ・モーテンセンを再び主演に迎えて、人類の身体がウイルスや痛みから解放された近未来を描く。ヴィゴは体の中に用途のない臓器=創造的な癌ができる特殊な体質を持っている。パートナーで元外科医のレア・セドゥとともに、人前で手術をし、その新たな内蔵を取り出すパフォーマンスを行っており、カリスマ的な人気を誇るアーティストだ。決してホラーではなく、人間は身体があってこそ考えも決まり、身体に操られて心が動く世界観が描かれる。乾いたギリシャで撮影されながら、信頼した人に内蔵を預ける妖しい粘液的なエロティシズムもある、クローネンバーグらしい作品である。
23/8/12(土)