1992年の『レザボア・ドックス』でデビュー以来、文字通り猛烈な勢いで映画界を疾走してきたクエンティン・タランティーノの映画制作の裏話や人柄を出演俳優やスタッフが赤裸々に語る『クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男』は実に面白く出来上がったドキュメンタリー映画だ。暴露に近いインタビューの他にも、8本の監督作品の名場面や、それとシンクロするタランティーノのお気に入り映画のハイライトシーンにメイキング映像…。監督のタラ・ウッドがタランティーノを全く登場させずに1時間43分の映画を作り上げたのは大正解で、その見事な切れ味には舌を巻かざるを得ない。”映画”というメディアの成り立ちと、それがいかに唯一無二のものであるかがよくわかったのも大収穫だった。

23/8/12(土)