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水先案内人のおすすめ

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平辻 哲也

映画ジャーナリスト

こんにちは、母さん

大泉洋は、3年連続でNHK紅白歌合戦の司会を務め、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では源頼朝役を好演した国民的人気俳優だ。その原点は、『男はつらいよ』の渥美清演じる車寅次郎のモノマネだと聞いたことがある。テレビでも見たことがあるが、実にうまい。ハリウッドで流行のリブートにならって、『男はつらいよ』を復活させるなら、主演は大泉だろう。 そんな妄想が本作でちょっとだけ実現した気がした。本作は東京・隅田川沿いの下町、向島を舞台にした母と息子の物語。『男はつらいよ』のエッセンスはあるが、その役割を大胆に変えている。恋にまっしぐらなのは、夫に先立たれた母の方。息子は、老いらくの恋の行方に気が気でない。一方、人事部長を任された勤め先の大会社では、リストラ計画が進み、その候補となった同期入社の友人との関係に頭を悩ませている。サラリーマン稼業も“つらいよ”というわけだ。 その2つの物語が動きながら、世話好きの下町の人々のふれあいも描かれ、ユーモラス。新味はないが、こういう人情話にほっとし、心が温かくなる。自分も年取ったのかなと思いつつ、これはこれで正解なのではないか。山田監督×大泉洋で次の展開も見てみたい。

23/8/24(木)

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