BAD LANDS　バッド・ランズ

原田眞人監督得意の群像劇。怒涛のアクション作品『ヘルドックス』の次は、特殊詐欺グループの姉と弟（安藤サクラ・山田涼介）が巨悪と対峙するクライムサスペンスだ。クールで頭脳明晰、しかし姉弟愛ゆえに判断を誤っていくサギ女を安藤が好演。今回は脚本の魅力＋生瀬勝久、吉原光夫、江口のりこといった役者たちの芝居合戦が見もの。早口で畳みかけるセリフの応酬が緊張感を高め、観客を巻き込んでゆく。中でも宇崎竜童の元極道にしびれた。一方、山田涼介の芝居が少々甘いかなと感じた前半。しかし、彼が演じた弟に結果、泣かされてしまった。緻密に計算された配役と演出。キャストの移動をつぶさに追うカメラが画面に躍動感を与え想像を超える犯罪カオスへと向かうのだ。