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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
“敵”の子どもたち
23/9/16(土)
シアター・イメージフォーラム
2010年代半ばの大きな国際問題の1つは、イスラム過激派ISISが中東シリアとイラクを部分的に占領して樹立した「イスラム国」だろう。ヨーロッパ諸国からも多くのイスラム教徒が参加したという。チリ出身でスウェーデンに移住したミュージシャンのパトリシオは、イスラム教に改宗した娘がISISメンバーと結婚して2014年にシリアに密航して戦死した後、彼女の7人の幼い子どもを救けるため、単身シリアに赴く。そんなパトリシオの旅を、同じくチリ出身のG・グラセル・ミューラー監督が追いかける。敵の子どもたちに罪はないにもかかわらず、政府も他の国際機関も動かない。パトリシアがさまざまな手がかりを探って孫たちの救出を試みる中、政治や宗教などをめぐる多くの問題が見え隠れして興味深い。
23/9/16(土)