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映画から自分の心を探る学びを
伊藤 さとり
映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)
ルー、パリで生まれた猫
23/9/29(金)
新宿ピカデリー
数々の猫映画がドキュメンタリーとして世に送り出されている。けれど今作は生命の誕生と成長、野生への目覚めまでを手持ちカメラも駆使しながら至近距離で味わう猫と動物のフィクションだった。本作の特徴は、小さな仔猫を少女が学びながら育てる中で、命の尊さと小さな命を“飼い主のものにする”ことへの疑問も描かれていることだった。 だからきっと日本の猫愛好家は物語の展開に少々、動揺するだろう。それは国によりペットとの関わり方も違うからであって、人間が動物の生き死にを決めるのではなく、動物の意思を尊重することについて考えようではないか、と伝えるような手法を監督は使っているのだ。それにしてもルーが可愛い! 猫の可愛さにノックアウトされるだけでなく、実は監督は全動物を愛しているに違いないと思えるほど、様々な種類の生き物がクローズアップされる。斬新なまでの猫と野生の物語だった。
23/9/20(水)