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水先案内人のおすすめ

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ユニークな選択眼!

春日 太一

映画史・時代劇研究家

ジョン・ウィック:コンセクエンス

これまでのシリーズ過去3作で、あれだけさまざまなパターンのアクションをやってきたのだから、さすがに手は尽きたと思いきや、まだまだアイデアがあったことに驚く。 特に終盤のパリ編が見事。凱旋門周辺にモンマルトルという有数の観光地でロケをしているのだが、その風光明媚さが背景として効いているのはもちろん、それぞれの特徴的な地形を巧みに活用して、驚愕のアクションシーンを繰り広げていく。 ただ個人的には、アクションは緩急や芝居の“間(ま)”こそが大事だと考えているため、あまり手数の多すぎるアクションは好みではない。このシリーズがまさにそうなわけだが。それでも、パリ編はアイデアも勢いも「そこまでやるか!」というインフレ級の手数で攻めてくるので感覚がマヒして、訳のわからないハイへと突入できた。 問題は、前半の大阪編だ。とにかく緩急なく“急”ばかりをチャカチャカとやっているので、段々と飽きてくる。 そこを締めるのが、我らが真田広之。ほんの一瞬見せるだけの抜刀、納刀の所作の美しさがこの目を捕え、何百発の銃弾よりも遥かに強烈な迫力をスクリーンにもたらしていた。 激しく動きながら手数で押してくるドニー・イェンに対して、じっと刀を構えながら徹底して受けに回り、相手を引き立てる技量もさすがだ。 ハリウッド最前線のアクション映画にあっても、日本で培った殺陣の表現技術が存分に輝くことを見せつけてくれたのだ。実に誇らしい。 願わくば、真田広之自身の殺陣がもっと引き立つような映画が観たい。

23/9/22(金)

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