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水先案内人のおすすめ

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ユニークな選択眼!

春日 太一

映画史・時代劇研究家

コカイン・ベア

近年は、たとえエンタテインメント作品であっても、社会に巣食うさまざまな問題を訴えかける映画が少なくない。もちろん、そうした意識の高さは大事なことであり、基本的には肯定的に受け止めている。 ただ、そうした映画ばかりになってしまうと疲れてしまう。 ただでさえ、現実世界ではさまざまに重苦しい状況がのしかかっている世の中だ。何も考えさせずに頭を軽くしてくれるような、意識の低い映画もたまには観たくなる。 そういう意味では、本作は最適だ。 本来なら人を襲わないはずのアメリカの熊が、運び屋が山中に落とした大量のコカインを摂取したことで凶暴化。立場の善悪の関係なく、人を襲いまくる。 え、この人がこんなタイミングでこんな殺され方をするの? という驚きの連続。ド迫力の残酷描写とユルいコメディ芝居とが同居し、作り手が真面目なのか、ふざけているのか、全く読めない作り。そして、奇妙なカタルシスに満ちたクライマックス──。 設定、人物描写、物語展開、不謹慎なまでに軽い人命、何から何まで徹底して意識が低く、観ている間ずっと頭をスッカラカンにしてくれる。 根を詰めてばかりでなく、こうした映画でリラックスしてみるのも大事だろう。

23/9/25(月)

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