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植草 信和
フリー編集者(元キネマ旬報編集長)
ザ・クリエイター/創造者
23/10/20(金)
TOHOシネマズ 日比谷
映画史上最高作の一本である1968年作品『2001年宇宙の旅』の主要テーマのひとつに、「コンピュータと人間の対立」という問題があった。木星探査のための宇宙船ディスカバリー号に搭載されたコンピュータHAL9000は、船内すべての制御をおこなっていたが、発生したあるトラブルから乗組員を排除しようと敵対しはじめる。いわゆる「コンピュータの反乱」で、それは機械と人間の闘いの第一ラウンドだった。 それから55年後に作られた本作『ザ・クリエイター/創造者』ではそれが、「コンピュータ(AI)と人間の最終戦争」にまで突入。『2001年宇宙の旅』での両者の個人戦レベルの対立は、本作では全面戦争にまでエスカレート。にわかに騒がしくなった生成AIの今後が注目される現在だからこそ、必然的に生まれた近未来SFアクション映画といえそうだ。キャッチコピーは、「心を持つAIを、殺せますか? 愛せますか?」。超進化型の幼いAI少女アルフィーを、暗殺者(ジョン・デビッド・ワシントン)は殺すのか愛するのか。AI軍の守護神(渡辺謙)は少女を守り切ることができるのか…。監督は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のギャレス・エドワーズ。 核爆発を引き起こすAIを描いた1991年『ターミネーター2』、超進化系AIの子どもと人間の交流を描いた2001年『A.I.』などの先行「AI映画」から、本作はどう進化しているのか、見どころ満載の超大作SF映画だ。
23/9/28(木)