Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

水先案内人のおすすめ

評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!

パリ発、ヨーロッパで話題の作品を

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家

ジャン=リュック・ゴダールの名前は多くの人が知っているのに、彼の映画を観に行く人は少数派だ。難解というイメージがあるからだろう。たしかにわかりやすくはないし、とりわけ愉快な映画とも言えないが、凝り固まったイメージに押し込めるのは、彼がやってきたこととは対極だ。彼は常に映画のルールを壊すことを心がけてきたのだから。   本作はそんなゴダールを「映画の神」としてではなく、欠点もトラウマもある人間として捉えたドキュメンタリーで、そこに真価がある。なにより彼と関わった人々が、美辞麗句ではなく率直な感想を述べているのが面白いし、そこからさまざまに異なる顔が浮かび上がるのもまた、ゴダールの複雑さを象徴している。 恋多き男なのに、女性よりは映画のために生き、映画のためには友も捨てた、しかしそれゆえに格闘し続けた孤高の存在。やはりこんな監督は滅多にいないと思わせられる。

23/9/27(水)

アプリで読む